パンと日用品の店 わざわざ

わざわざの食品選定基準(1/2)みんなにとっての「ちょうどいい」を選んでいます

2022.03.03

「世界で1番美味しい」を集めて販売している訳ではないのが、わざわざでの取り扱い食品です。創業から13年を経てたどり着いたわざわざのセレクトの秘密についてお伝えします。

わざわざでは食品を販売するにあたって「食品選定基準」を定めています。基準を設けているくらいなら、わざわざの食品ラインナップはかなり厳密なセレクトなのではないか。そう感じられたかもしれませんが、ちょっと違います。

わざわざでは開業当初、健康的な食品にこだわっていたこともあり「国産小麦使用」「オーガニック」などの文言を使ってパンのPRをしていました。すると、健康に関心の強い方々が自然と集まるようになりました。当時はそういった店が少なかったのです。

そういった方たちの中には、自分や家族の健康を思うあまりに人にも自分と同じ厳しさであることを求める方がいらっしゃいました。「わざわざさんは自然派なのにどうしてこの食材を扱っているのか」「家族が菜食を受け入れてくれないのだけど、どうしたらよいか?」。これ”だけが”よいに縛られてしまう世界に息が詰まる思いでした。

だったら健康的なものをセレクトしながら、健康的であることを謳わないのはどうだろう?健康に関心が低い人でもわざわざに通って「これ、おいしいね」を理由に買って食べているうちに健康的な食生活になっていくのがいいかもしれない。そうやって徐々に健康を謳うフレーズを使うことをやめていった経緯があります。

わざわざのパンとお菓子。今も変わらず手づくりで、毎日丁寧に焼き上げています。

わざわざで取り扱っている食品は「体にいいから食べる」というよりも「おいしいから食べたら体にも優しいものだった」と感じていただける方が自然でいいなと考えています。

「基準」はあるけど
決めすぎない、縛りすぎない

ここでわざわざの「食品選定基準」を紹介させてください。もともとは「商品選定基準」として食品・日用品の両方のための基準を設けていましたが、食品は口にするものだけに、より一歩踏み込んだ内容としました。どんな基準があるかというと、全部で5つです。

1.安全で安心なもの

農産物は、無農薬や低農薬を中心に、化学肥料より有機肥料を使用しているものをできる限り選んでいます。また海外より国産品、国産品の中でも長野県産、長野県産より地元産というように地産地消を心がけ、地元の農産品を積極的に販売しております。身体に嬉しい、余計なものが入っていない、作り手の顔が見える食料品を集めています。

わざわざと同じく長野県東御市に店舗を構えるソーセージハム男の自家製ソーセージ。信州産の豚肉を使用しています。

2.無理のない価格帯

普段使いできる価格帯でリピートできる、試してみたい価格の品を集めて販売しております。そして価格が安すぎないことも重要で、生産者が正当な利益を得られるものを選んでいます。お互いにとって心地よい価格設定。それがわざわざの目指すところです。

イマイ醤油きなりは日本古来の伝統製法で作られていながらも、毎日使うものだからと価格が配慮されています。

3.生産者との良好な関係性

お客様がわざわざで買い物をすると、作った人(生産者)と売った人(販売者=わざわざ)にお金が入ります。私たちが心を込めて売るものは好きな人のものでありたい。また、お客様に生産者の気持ちを伝え、しっかりと販売できる関係性を重視して選んでいます。

津田さんご夫婦が作るジャムには静岡の旅で出会いました。こうしたご縁も大切にしています。

4.きちんと作られたもの

食品は口にするものだからこそ、きちんとした製造設備のもと法律に則って作られているものを選んでいます。製造規模の大きさにかかわらず、原材料の調達から生産・加工までのトレーサビリティがしっかりしていることが大事です。

信州黄金シャモを育てるとや原ファームは生産から加工・販売までを一手に担っています。

5.環境に配慮したもの

農薬は使用量が少ないほうが望ましいですし、パッケージは簡素かどうか、リサイクルできるかを確認しています。環境のためにできることを、できる範囲で取り組んでいる生産者の食料品を選んでいます。

山神果樹薬草園では柚子などの皮から精油を抽出して残った果実を無駄にせず、しぼり酢やジュースに加工しています。

わざわざではこれらの判断基準にそった「生活に密着できる物」を集めています。身体に嬉しく、余計なものが入っていない、作り手の顔が見える食料品。それはなにより自分たちが満足して使いたい、食べたいものです。「わたしにとってはこれがおいしい」を大切に食品を選んでいます。

普段使いできる価格帯でありながら安すぎないことも重要で、お互いにとって心地よい価格設定を目指しています。また、私たちが心を込めて売るものは好きな人のものでありたい。お客様に生産者の気持ちを伝え、しっかりと販売できる関係性を重視しています。

秋になると主に実店舗で「田島りんご園」のりんごが登場。太陽の光で自然に色づいたりんごはジュースになっても味が濃くておいしいです。

また、添加物はNG、海外産もNGというような何かを限定する定め方はしていません。1の「安全で安心なもの」において「海外より国産品、国産品の中でも長野県産、長野県産より地元産というように地産地消を心がけ、地元の農産品を積極的に販売」としたのも、選択肢を広く持っていたいからです。

鮮度抜群でプリップリの冷凍エビ。パプアニューギニア産のものを大阪の工場で加工した、わざわざ定番の食材です。
安全で美味しい食品を提供する目的のために結成された「良い食品づくりの会」の食材も取り扱っています。

いつだって選択肢は多いほうがいい。10個あった選択肢もある一定の限定ルールがあるだけで狭まってしまい、わたし達がおいしいと思うものを選びにくくなってしまいます。もちろん、できるだけ健康的なものを選びたいとも思います。

食品選定基準を持ちながらも曖昧でルールを限定しすぎない、という今のわざわざの状態はとても健全であると考えています。何年もかかりましたが、徐々に考え方がいい塩梅で緩くなっていったことでこの域にたどり着けました。

何を食べているか理解していますか

さて、何か食品を購入する時にパッケージ裏面に書かれている成分表記を確認することはありますか。

金華豚特製レトルトカレーの裏面。商品紹介に目が行きがちですが、今回注目したいのは左下の部分です。

わざわざではかねてから「わからないものは食べないという選択もある」とお伝えし続けています。パッケージ裏面の成分表記を見て、何が使われているか理解できるなら食べる。よくわからないものが入っているならやめる。この食品の選び方は、とてもシンプルなのでひとつのやり方としておすすめです。

わざわざ代表の平田がまだ添加物に対してのアレルギーが強かった時期ではありますが、2012年にはこんなツイートもしていました。こちらの本は添加物に対して興味深く説明している本なので、一つの考え方として読んでみてもよいかもしれません。

ちなみに、ネットで食品を買おうとすると成分表記欄の記載が省略されてて確認できないことがあります。実店舗でのお買い物であれば確認できるのにネットだと確認できなくなるのは問題だと感じているので、わざわざのオンラインストアでは必ず原材料を表記するようにしています。必要に応じてご覧いただけたら幸いです。

酢屋茂の即席みそ汁より。食品については各ページ末尾に必ずこの表記を入れています。

パッケージ裏面を見るのはおすすめしたい行動ではありますが、成分表記を確認する習慣がない人がいきなり買おうとしている全ての食品で確認し始めたら大変ですし、せっかくの楽しい食事がつらいものになってしまいます。

完璧であることが唯一の正解かというと違うかもしれません。まずはやれる時だけやってみるのが大切です。たとえば買うかどうか迷った時だけ裏面を見てみる、というように自分の中でやり方を決めてみましょう。

「裏面、見たほうがいいのは分かるけど正直面倒だ」と感じる方も多いと思います。仕事や育児に忙しくて、買い物に時間を割けない方も多いでしょう。

必要だから買う・安いから買うという行動はしやすいですが、必要なものをカゴに入れる前に値段と原材料を確認して買うかどうか判断する、となるとエネルギーと時間を使います。そんな時は、よかったらわざわざを頼ってください。

自分にとってちょうどいいものを

今回は食品選定基準にまつわる話をしましたが、これを読んだ方に「食品選びとはこうすべきだ」と押し付けるつもりはまったくありません。

自分にとってちょうどいい、そのバランスを取ることができるのは自分だけ。人それぞれ、各自で自分自身の健康を思って選択していくことが大事です。

わざわざは自己の心身に耳を傾けながら、日々の生活を精一杯過ごしている人を「よき生活者」と呼ぶことにしました。人の尺度で自分を計らず、人それぞれ与えられた自分の体が健康でいられる状態を自分で探す。こうしてひとつずつ自分の生活を作っていく「よき生活者」を、わざわざでは応援しています。

食品選択基準のもと、幅広い選択肢をご用意しています。よき生活者でありたいと思う方が食品を購入する時、その選択のお手伝いをわざわざが担えたらという思いで、これからも多種多様な食材をセレクトしてまいります。人それぞれに合った使い方で、わざわざを、そして日々の食生活をおいしくて健やかなものにしていただけたら幸いです。

→わざわざオンラインストアで取り扱いの食品・調味料・飲料はこちら

さて、今回の話には続きがあります。実はわざわざではインスタント・レトルト食品も豊富にラインナップしています。簡単に調理できるこうした食材は、時に「体に悪そうだから」と敬遠されやすかったり、あるいは食べながら少し罪悪感のようなものを覚える方もいらっしゃるかもしれません。

それでもわざわざでインスタントの袋麺やレトルトカレーといった食品を取り扱うのには理由があります。続編「わざわざの食品選定基準2/2 インスタントに頼ったっていい」をご覧ください。

監修>平田はる香 文責>いしはら 写真>若菜紘之