パンと日用品の店 わざわざ

N.PARK PROJECT NAGANO セミナーとワークショップ初開催

2022.03.11

2022年1月26日、中川政七商店さんが運営する、「スモールビジネスでまちを元気にする」取り組みである、N.PARK PROJECTにわざわざが参画し、N.PARK PROJECT NAGANOが始動しました。

中川政七商店さんとのN.PARK PROJECT NAGANOに関するプレスリリースはこちら:https://waza2.co.jp/news/773/

2月12日、問tou特設会場で、N.PARK PROJECT NAGANO始動後、初めてのイベントを実施。告知をしたところ、すぐに応募枠が埋まり、急遽定員を増やして20名でイベントを開催しました。

SMALL BUSINESS LABOセミナー#04

第一部では、N.PARK PROJECT・奈良会場と中継をつなぎ、今や日本におけるクラフトチョコレートの代表ともいえるブランド「Minimal」生みの親・山下貴嗣さんをトークゲストに迎えたSMALL BUSINESS LABOセミナー#04を、参加者全員で視聴。

山下さんは、新卒から勤めた経営コンサルティング会社を29歳で退職し、30歳で株式会社βaceを起業。世界最高峰のチョコレート品評会などでこれまで60を超える賞を受賞されるなど、華々しいご経歴をお持ちです。今では、西洋発のチョコレートを、日本人が作ったチョコレートで「チョコレートを新しくする」というミッションで世界一を目指していますが、実は起業当初チョコレートは全くの門外漢でした。また最初から世界を目指していたわけではなく、起業して8年かけてそう思うようになったそうです。

その思いに至った自身の固有の経験として、山下さんは2つ挙げられました。一つは、人口減少やGDPが減少していくと言われている日本の未来に社会経済的に貢献したいという思いから、量ではなく質で外貨を稼ぎたいと思ったことです。もう一つは、起業前に働いていた経営コンサルティング会社でグローバル人材育成に携わる中で培われた経験です。一般的に日本人は外国人ほど発言できないという問題意識を持たれている中で、逆に山下さんは空気を読めたり人の感情の機微に気づくことができる日本人の特性に気づき、それに強みを感じたと言います。その二つの経験を元に、日本固有の思想・技術を生かし、グローバルで外貨を稼ぐことができるハイブランドを作りたいという考えに至り、たまたまチョコレートを選択し、起業に至りました。

山下さんは、プロフェッショナルになるために、早い・遅いといったことはないと言います。みんなそれぞれ固有のストーリーがあり、そこに自分のやりたいことのヒントが詰まっており、興味がある、疑問に思う、解決したいといった動機を、自分自身が確認しにいく作業が大事で、山下さん自身も仕事の経験に恵まれて30才で思いついたのであって、最初から起業家を目指していたわけではないと語ります。

人は変化を嫌うので、99%の人は現状維持で、1%の人だけが行動し、後から始める人に差をつけることができると山下さんは言います。山下さんがご自身の行動を振り返って、最初からしっかりと考えが固まっていたわけではありませんでしたが、たまたま早く動いたことが、今やクラフトチョコレートの第一人者というポジションを作れたと語ります。多くの人は失敗することや分からないことが怖くて、行動に移せないことが多いですが、悩んで足が止まるよりはある程度考えたら、まず動いてみると、改善できるので、失敗が失敗でなくなったり、動くことに意味があることがわかってきます。動いて違うのであれば、やめればいい。1日でも早く一歩動いてみることが大切であることを繰り返しおっしゃっていました。

セミナーの詳しい内容は、N.PARK PROJECTのイベントレポートをご覧ください。

https://n-park-project.jp/topics/seminar/3006

質疑応答では、奈良開場で講演をしている山下さんに対して、長野会場からも2名が質問。オンライン視聴とはいえ、臨場感あふれるセミナーとなりました。

気づきをシェアするワークショップ

セミナー終了後、長野会場ではわざわざ代表平田と、藤原印刷株式会社 藤原さんをファシリテーターとして、ワークショップを実施。参加者全員の自己紹介を聞きながら、その場で藤原さんがグルーピングし、5グループに分かれて、セミナーを聴講して得た気づきをグループディスカッション。

各グループに1枚の紙が用意され、グループで得た気づきを紙に自由にまとめていただきました。

ディスカッションでは、ファシリテーターの2名が時折グループに参加して議論に加わったり、参加者のみなさんは初対面でありながら活発に議論が行われました。

各グループで1名リーダーを決めて、各リーダーから気づきの集合知を発表。各グループの発表に対して、ファシリテーターがフィードバックを返し、議論を深めました。

Aグループの気づき

考えすぎず動いてみる。周りを巻き込み他者を頼る。客観的な視点を持つ。この三点が大事。自分でやりたいことを押し通すのではなく、ビジョン・ミッションに従っている。

Bグループの気づき

一番重要なのは、ファーストステップ。ブランドを持っている人は目的がはっきりしているので、行動が決まってくる。

Cグループの気づき

雪が崖から転げ落ちてかたまりになっていくように、一人で始めたとりあえずの一歩が他者を巻き込みながら大きくなって、心からおもしろいと思えることが大事。

Dグループの気づき

山下さんはチョコレート事業が好きだったので、続けることができたのではないか。事業を続けたり、行動を起こす上で、好きという感情は重要である。

Eグループの気づき

創業者として、ブランドと自分の人格を切り離すことによって、目標を自分に合わせすぎず、問いをたてて目標を大きくしていくことができる。

全グループの発表が出揃ったところで、すべての発表を集めて、ファシリテーターの平田が気づきを総括しました。

それぞれ違う人たちがグループになって発表してきたことですが、発表した内容が似ていて、スタートできっかけが必要だったり、考えすぎずに動くという山下さんからのメッセージが受け取れているとした上で、さらにぶれないために何が必要かについて、ビジョン・ミッションの話を追加しました。
「Minimalの山下さんはミッション型で、使命を持って事業をやっています。山下さんが世界一のチョコレートファクトリーを作るという目標のために行動していると、おいしいチョコレートを食べることができて、カカオの産地で働く人々の労働環境も改善されていくというバリューが落ちていく。今日はビジョンの話だったと思います。今回のイベント主催の中川政七商店さん、わざわざはビジョン型です。この大切さを伝えたいためのセミナーでした」と総括しました。

ここでファシリテーターである藤原さんから「スモールビジネスにビジョンは必要か」という問いが発せられました。わざわざ平田自身も、個人事業主としてパンと日用品の店 わざわざを始めた当初は、現在のビジョン・ミッションが言語化できていたわけではありませんでした。しかし、平田自身がぶれないための軸としてビジョンを据えていて、目の前の大変さで行動が制限されたとしても、高いビジョンがあれば突破できると考えて今日に至ります。

最終的に、山下さんのお話は、ぶれないミッションがあるから行動につながる原動力がわきおこってくるのではないかという気づきに至りました。グループディスカッションの気づきの発表の中で、「好き」が原動力だという気づきの意見も出てきましたが、好きという思いではなく、市場価値や時流で選択し、ミッションにひっぱられているのではないかという気づきで締めくくりました。

その後も今回のファシリテーターの平田と藤原さんに対する、参加者からの個別の質問に答えたり、参加者のみなさんで名刺交換をしたり情報交換をする時間を設け、和やかで白熱した時間となりました。

参加者の感想

(男性・起業済)一方向だけではなく、双方向のコミュニケーションが取れたのでとてもよかったと思います。参加者同士でブレストしたりと色々話せてよかったです。ありがとうございました!

(女性・専業主婦)初めてセミナーというイベントに参加させていただきました。ひとりで考えるよりも、人の話を聞き学び、思ったことをディスカッションすることで、新たな気づきが生まれることがこんなにも有意義な時間になるんだなと知りました。もっと沢山の方のお話や考えを聞き、自分のものにしていけたらいいなと思います。とても貴重な時間をありがとうございました。

(女性・フリーランス)とても緊張していましたが、温かい雰囲気でホッとしました。集中してお話しを聴いたり話したりできました。ありがとうございました!

(女性・フリーター)どんなタイプの人でも溶け込めるような雰囲気作りやスムーズなファシリテーションで、とても参加しやすく、内容もスムーズに入ってくるイベントでした。ワークショップは短い時間でも参加者全員の個性が見えたり、気づきをもらうことができて刺激的で楽しいものでした。

このように、N.PARK PROJECT NAGANOでは、学びを深めて明日の行動につなげるセミナーやワークショップを今後も開催していきますので、なかなか一歩踏み出せない方、踏み出してみたけど悩んでいる方、事業をしていく上でヒントが欲しい方、など何かの行動につなげていくきっかけを探している方におすすめです。

次回イベントのお知らせ

次回のイベントは、3/26(土)13:00~に問tou特別会場で実施予定です。次回は長野でご活躍されている経営者をお招きして、第一部のトークセッションでは、”長野で創業した経営者と話す「スタートアップ地方編」”をテーマにゲスト2名からお話を伺います。トークゲストはデザイン性と機能性を兼ね備えたデザインが人気の、松本市のアウトドアブランド ゼインアーツの小杉敬さんと、スパイスを熟知した店主が佐久穂町でスパイスの魅力が詰まったカレーを手がけるカレー屋ヒゲめがねの豊田陽介さんをお招きします。ファシリテーターとして、藤原印刷の藤原さん・わざわざ代表の平田がお二人に、起業や新規事業をする際に、お金、人、将来性がどこまで見えていたのか、などの具体的でリアルな話を引き出していきます。第二部のワークショップでは、トークセッションで得た学びを深めるグループワークを行います。今回は、トークセッションのみオンライン配信もございますので、長野に来れないが興味はあるという方はぜひオンラインでお楽しみください。

お申込みはこちら:https://nppn-sbl-s0-m01.peatix.com

文責>尾崎絵美 写真>若菜紘之