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B Corpのアセスメントを受けてみた

2021.08.24

B Corp Journey #2

わざわざでは現在、B Corp認証の取得を目指しています。B Corpになるためには、いくつかのステップがあります。今回は、認証取得のために今わざわざがどのようなことを行っているかをご紹介します。そもそもB Corpとは何なのか、また何故わざわざがB Corpを目指すことになったのかを知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

B Corp Journey #1: B Corpってなんのこと?

B Corpへのステップ

まず、B Corp認証取得のためにしなければならないことは、大まかに3つあります。

1.Bインパクトアセスメントを行う

従業員、地域社会、環境、顧客といったステークホルダーに与えるインパクト(影響)を測る質問に、Web上で回答する(回答は無料)。業態や会社規模によって質問内容は異なるが、全体で約200問あり、200点中80点が認証申請のボーダーラインとなる。

2.法的な要件を満たす

会社運営の基礎となる「会社定款」や、会社の構造そのものをB Corpの理念に沿うように変更する。

3.B labからのレビューを受ける

アセスメントの結果を元に、B lab(B Corpの運営元NPO)のスタッフとオンラインで面談を行い、アセスメントを正しく理解できているか確認をする(場合によって点数が修正される)。

現在わざわざは、1.のアセスメントを受けている途中です。

5月末にB Corp認証を目指す社内プロジェクトが始まり、この文章を執筆している7月末まで、約2ヶ月かけて行っています。これまでで、全体の9割弱を回答しました。実はこのアセスメントにはとても時間がかかるのです。

アセスメントで求められるもの

時間がかかっている理由は、主に2つあります。

まず一つ目は、アセスメントの言語が英語であること。質問と回答選択肢を日本語に訳すだけでも、相当の時間がかかります。また回答が記述式の場合には、当然英語で記述する必要があります。

もう一つは、すぐには答えられないような難しい質問が多いこと。難易度としては、こちらの方がはるかに高いです。

一つ例を挙げると、「昨年度の会社支出のうち、何%を地元の独立したサプライヤー(=大企業の子会社ではない、地元の仕入先や業者)に費やしたか?」という質問があります。

これに答えるには、まず会社の全サプライヤーとそれに対する支出をリストアップし、その中から、各サプライヤーが地元かどうかを選別した上で、地元サプライヤーとそれに対する支出を抽出する必要があります。書くのは簡単ですが、わざわざは全国の様々な会社・業者・個人からモノやサービスの供給を受けているので、それぞれを一つずつ抽出する作業にはかなりの時間がかかりました。それでも回答できるのは1問だけです。

もちろんここまで苦労しない質問も多くあります。しかしこのアセスメントは総じて、会社のあり方や、様々な課題への取り組み方を問うているので、答えるためには会社の仕組みや財務情報、外部との関わり方など、様々な情報が必要となります。

わざわざのやり方

わざわざでは、そもそもB Corp取得の方針を代表平田が決めたという経緯があり、アセスメントの回答も平田を中心にして行いました。会社に一番詳しい人が答えるので、回答の作業はスムーズに進んだように思います。

これがより大きな会社だと、上層部にプレゼンをして、認証取得を目指す方向性を決めるだけでかなりの時間がかかるかもしれません。また様々な部署の関係者を巻き込んで情報収集するには、それだけ多くの時間と労力が必要でしょう。

会社によって状況は様々なので一概には言えませんが、わざわざの組織がコンパクトであることは、アセスメントを受ける上では良い方に働いているようです。ちなみにわざわざのB Corpチームは回答担当(平田)と翻訳担当、情報収集担当の3名で動いています。

まず翻訳担当がアセスメントを全て日本語に訳し、3人で集まって一通り全ての質問に答えていきました。その中で、特に対策の必要な項目を抽出し、それに答えるための情報収集をすることにしました。また、一度回答すると、それに関連した追加質問が新たに出てくる場合も多々あります。そのため3人で定期的に集まって、追加質問の回答と、情報収集の結果を共有するという流れを繰り返しています。

自分たちに何が足りていないか?

ここまでは、アセスメントをどのように進めてきたかという話でしたが、もっとも大変なのは、アセスメントを進めた後です。

現在わざわざは9割弱の回答を終え、獲得した点数は53点です。つまり、B Corp認証申請の基準となる80点まで、あと27点が必要です。ここをいかに埋めるかがまさに今直面している問題となります。

ただし、この27点を何としても埋める!という気合だけではいけません。そもそも、このB Corpという考え方は、いかに良い会社であるかを図る指標なので、今の会社に何ができていて、何が足りていないかを考えるのが重要です。

わざわざで言うと、会社の仕組みがフラットかつオープンであることや、オリジナル製品でゴミを出さないものづくりのシステムを作り出していることは強みになっています。一方で、足りていなかったのはサプライチェーンへの関与です。

アセスメントで求められるサプライチェーンの関与とは、例えば、自社の仕入先や卸先が生み出す負の環境インパクト(水使用量や廃棄物排出量など、どれだけ環境に影響を与えているか数値化したもの)を追跡・監視しているか、その会社に人材の多様性があるかを把握・促進しているかといった内容です。

わざわざでは、仕入先の選定をする場合に、製品の質だけでなくトレーサビリティを重視し、またオリジナル製品の開発では工場にも足繁く通うなど、相手との良い関係性を大事にしてきましたが、環境インパクトや会社構成という観点では関与をしてきませんでした。B Corp的な発想だとここまで求められるということは、実際にやってみてわかった発見でした。

改善していくことに意味がある

わざわざの規模では、膨大な数のサプライヤー全てに深く関与することは現実的でないので、自分たちのできることに優先順位をつける必要があると考えています。

例えば環境インパクトの測定は、サプライヤー以前に、まず自社でどれだけ生まれているのか可視化し、それを今後どう改善していくのか議論し、実行していくことが前提として必要です。

またアセスメントでは、“正式な社内制度として” 物事が行われているかという質問がよく出るのですが、わざわざでは “やっているけど制度ではない” ことが多くあります。そのため、時間と共にうやむやにならないように文書化・見える化しておくというのも、今回得た教訓の一つです。

他にも、できること、やるべきことはたくさんあります。しかし全部は無理なので、優先順位をつけながらです。B Corpが200点中80点(=全体の4割)を取れば認証取得できるのも、B Corpが完璧を求めているからではなく、改善を続けていくプロセスに意味があるからだと考えられます。

というわけで、わざわざはまだまだ改善の途中です。今現在の目標としては、繁忙期に入る前の10月中の申請を目指して、取り組んでいます。また経過を発信していきますので、どうぞお付き合いくださいませ!

B Corp Journey #3