パンと日用品の店 わざわざ

リモートスタッフ、初めてわざわざを訪れる

2022.04.08

オンラインストアでの出会いから始まった、わざわざ。

初めまして!リモートスタッフのなべ子と言います。わたしは今年の4月から長野に移住して正社員として働くことになっていますが、現在、大阪に居住しており1年間リモートスタッフとしてオンラインストアを手掛けるつうしん部で働いています。今回、わざわざを知り、働き、長野に移住を決意するまでの経緯をまとめてみることにしましたので、ぜひお付き合いいただけたらと思います!

わざわざを知ったのは2020年頃。きっかけはオンラインストアでした。一見どこにでもあるようなオンラインサイトなのですが、見ていくとどこかちょっと違うことに気が付きます。商品ひとつひとつに対する説明が丁寧で、まるで友人から「この商品、良かったから試してみて」と教えてもらっているような感覚を覚えました。

オンラインストアを眺めている内に気になる商品がいくつかでてきて買い物したことがありました。到着したのは鳥志商店の久留米ラーメン。普段は、添加物などあまり気にせずの食生活なのですが、長年食べてきたお気に入りのインスタントラーメンをいただくと、どうも胃がつらくなるのが気になっていました。化学調味料を使わずにつくった体に優しい即席麺という謳い文句に惹かれ、お試しにと買い求めたのでした。

インスタントラーメンなのに、麺がもちもち!

おいしいのかなと期待せずにいただいてみたところ、美味しかったのです。麺からモチモチとしててスルッと飲み込めますし、スープもあっさり濃厚なのに胃がつらくなりません。

こうして化学調味料を使わない食品の見方がすっかり変わり、わざわざのオンラインストアで次から次へと魅力的な商品と出会うことができたのです。普段の買い物ではなかなか出会わないであろう商品のラインナップに、商品を取り扱う際の独自の選定基準、商品ページに細かく記載されていることにこの店の良さを覚え、気がついたらオンラインストアの更新が楽しみになっていました。

代表平田のTwitterで求人募集を見かけ応募し、2021年4月よりオンラインストア業務に携わるリモートスタッフとしてわざわざで働くようになりました。面接などはすべてオンライン上で行われたこともあり「パンと日用品のお店わざわざ」「問tou」の両店舗を訪れたこともないまま働くことになりました。

わざわざに行ったことがないので、出社してみたいんです。

2021年10月に機会を得て長野に出社しました。今回の出社で「パンと日用品のお店わざわざ」「問tou」に足を運べていないお客様に少しでもお店や近隣のことをお伝えしながら、普段はなかなかお見せできないわざわざという会社の内部の様子をご紹介していきます。

出社したのは2021年10月下旬のこと。

季節は秋。運転中の窓から見える風景に、長野らしい美しさを感じます。初めて訪れた東御市は、美しい山並みに囲まれた自然豊かなところというのが第一印象。その印象は長野にいる期間ずっと変わらず、自然が織りなす風景や、刻々と移ろいゆく色合いは本当に心地よいものでした。

わざわざのスタッフも度々お世話になっているお店です。

「パンと日用品のお店わざわざ」を訪れる前に「そば茶屋 さくら」でお昼ごはんを頂きました。長野といえば蕎麦が有名で、このお店では十割そばをいただけます。そのみずみずしい食感につるりと箸が進みました。

パンの焼き立てのいい香りあふれる、わざわざ

「そば茶屋 さくら」さんから車を走らせること約10分ほどで「パンと日用品のお店わざわざ」に到着しました。ドアを開けてすぐに香る、パンの焼きたてのいい香り。実際わざわざにご来店される約7〜8割のお客様がパンやお菓子を買って帰られるのですが、その理由が身を持って分かりました。

1階に所狭しと並ぶのは食品、そして調理器具やうつわたちです。オンラインストアではお馴染みのものから、実店舗でのみ取り扱っている商品が並びます。どれもこれも手にとって確認してみたくなります。

わざわざでは商品の選定基準を独自に設けて販売しており、中でも特徴的なのは安心であったり、生産者さんの顔が浮かぶような商品たち。レトルト商品なども多く取り扱っていますが、これはわざわざの心にも定められている、自分にとってちょうどいい選択をとる「よき生活者になる」という部分に由来しています。

「よき生活者になる」とは
ーそれぞれの価値観を認め合い、自分軸を作って、自分自身の体と心の声に耳を傾けて生活してみる。昨日の自分の行動を振り返り、今日の不調に照らし合わせる。そうやって一つずつ自分の生活を作っていく人を、わざわざは「よき生活者」と呼びます。

(株式会社わざわざコーポレートサイト「わざわざの心」より)

忙しく働く方や子育て中の方はもしかすると毎日の料理が大変なのかもしれません。そんな方には手軽においしく、材料に気を遣った気を遣った食品もご用意することで、そういった多様性のある選択肢を感じさせるラインナップになっています。

カレーを始めとするレトルト食品も取り揃えています。

2階にあがれば目に入るのは、これまた所狭しと並べられたタオルや衛生用品、そしてそこに陳列された一見異色にも見える本たち。バリューブックスさんに選書いただいた本を商品のジャンルに合わせて並べているとのこと。様々なジャンルが混在しながらのこのワクワクする陳列はなかなか味わうことはありません。次第に商品も本も気になってきて、目が迷子になってしまいます。

 2階はまるで屋根裏部屋のような空間でした。

ふと目をやると、買い物にいらしていたご家族のうちご両親が1階で商品をじっくり吟味している間に、子どもたちは2階で絵本を読んでいました。子どもも気軽に手に取りやすい位置に絵本を並べることで、どのお客さまにも楽しんでもらうための工夫がこういった陳列にも表れていました。

子どもも気軽に手に取りやすい位置に、絵本が並んでいます。

「パンと日用品のお店わざわざ」では、遠方からいらっしゃる方もいれば、ご近所の方も買い物にいらしているようです。スタッフとして、公共交通の行き届かない山の上までわざわざ本当にありがとうございます。

わざわざの店内では、パンの厨房の一部が見えるようにガラス張りになっています。商品だけでなく、ここに来たこと自体を楽しんでもらえるような店内。ついつい見てしまいます。

パンづくり部でわざわざのパンからお菓子づくりしています。

今回はこの厨房の中にもお邪魔し、パンづくりの様子を見学しました。今回初めて目の当たりにしたパンの製造の様子。自分が販売に携わっているパンがどう作られて、どうお客様の元へ届くのか、これを知って販売をするのと知らないのとでは大きな差があると感じました。

本当に細かい製造作業、手入れの行き届いた厨房環境、そして無駄のない動き、パンづくり部の連携が取れて生まれたパンを、大切にお届けしたいという気持ちが湧きました。
焼き上がったそのままの美味しさをお届けしたく、スコーンを真空パックにします。ご自宅でお召し上がりいただく際には、スコーンをちょっとトースターで焼いてみてください。よい香りがしてきます。
梱包の終えたわざわざのパン・お菓子はミニバンに乗せられて倉庫で運ばれていきます。倉庫でダンボールに詰めてお客様のもとにお届けします。
わざわざのパンは2種類の食事パンだけ。こだわりはそれほどありませんが、毎日食べても飽きないパンを、健康的な素材で焼いて、適正な価格で販売します。

わざわざのパンの製造の様子や、これまでの変遷はこちらの記事でまとめています。わざわざのパンの特徴は、気温によって発酵の具合も変わりますので、季節によって顔が変わることです。ぜひご賞味ください。

美しい景観が広がる公園の中に、問touはありました

続いて、わざわざの姉妹店である「問tou」を訪れました。わざわざから問touまでは車でおおよそ10分。山の上にあるわざわざから、一度谷へ降り、また山を上がると問touがあります。

問touにいらしたお客さまを出迎えるこの暖簾はよつめ染布舎の小野豊一さんに制作いただきました。

問touがあるのは芸術むら公園内。この公園は自然豊かで、芝や木々、池があり、四季折々の様々な表情を楽しめます。問touだけでなく、公園を散策して楽しめますし、温泉宿泊施設の明神館や美術館もございますので、ぜひおひとりでも、家族やお子さま連れの方も遊びに行ってみてください。

カウンターの目の前には代表平田による選書コーナーが置かれていました。

「わざわざは日常、問touは非日常」と社内で繰り返し説明を受けていましたが、実際に訪れた問touはなんだか不思議な雰囲気に包まれたところでした。入り口からまず目に入るのは横一列に並ぶ本棚たち、その合間に様々な作家たちによる陶芸作品やアート作品があちこちに陳列されています。そこにはアフリカの通貨のオブジェインドの通貨の置物があったり、革製品があったり。オンラインストアで人気の流木の鳥たちもあちこちでゆっくり羽を休めているかのよう。さまざまな作品や製品が組み合わさって問touの世界観を作り出しています。

古書から新書まで3,500冊もの本が並ぶという問touは、そのとおり本に取り囲まれており、ここには「偏愛」をテーマに代表平田をはじめ、田中辰幸さん(ツバメコーヒー)、生江 秀さん(VALUE BOOKS)が各自で選書した本を並べています。本屋では、SNSや検索することで知っている本と出会うのではなく、フラフラと本棚の前を歩いては面白そうだなと思った本と出会ってほしいという意図がここにありました。そのせいなのでしょうか、街の書店で気に留めることのないようなタイトルの本が目に入ります。

「パンと日用品のお店わざわざ」や「問tou」でもさまざまな本が並びますが、ここで上田市にある「バリューブックス」さんに定期的にメンテナンスと称して本の入れ替えに来ていただいています。入れ替わる本たちのラインナップはその時だけのもの、出会ったときがタイミングと思わんばかりのワクワク感があります。

問touでは去年の秋から営業時間が変更となり、朝の10時からモーニングセットの提供が始まりました。

問touでは去年の夏に始まったばかりのモーニングセットのはちみつバタートーストとホットコーヒーを頂きました。分厚くカットされたわざわざの角食にたっぷりのはちみつとバターがのっていて、ツバメコーヒーの芳ばしい香りのコーヒーとよく合います。窓から見える美しい山並みを眺めながら味わうモーニングセットは格別の味わいでした。

喫茶のゾーンとは別に、問touには衣服コーナーがあります。オンラインストアに掲載されているアイテムから、問touでしか販売していないアイテム、わざわざ定番のオリジナルアイテムのもんぺやTシャツ、靴下はもちろん、tamaki niimeのイッテンモノの製品など、無地から柄物まで幅広いラインナップの商品が並びます。

問touではより商品が選びやすくなるよう、陳列のレイアウトを定期的に入れ替えています。

問touだけではないですが、実店舗で衣服を見る際の良さとして、やはりサイズ感や生地の肌触りを確かめられることが挙げられるでしょう。これはどうしてもオンラインストアではどうしても伝えきることができません。

実際に手にとって確かめてみると、例えばyohakuの衣服はどれもこれも心地の良い触り心地で、tamaki niimeの衣服は空気を纏うような柔らかさ。最近新たに取り扱いが始まったジェームスモルティマーのヘビーリネンシャツは、その名の通りの厚いリネンの仕上がりでした。

上質のアイリッシュリネン生地から丁寧に仕立てられたシャツ。オンラインストアで見掛けては気になっていた商品です。

それと、服や靴のサイジングで悩んだときにも実店舗の良さが。問touのスタッフが相談に乗ってくれます。オンラインストアで見かけてからずっと気になっていたNAOTの履き心地をようやく確かめることができました。社内でNAOTに一番くわしい伊藤店長とサイズの相談しながら選ぶことができたので、満足の行くお買い物ができました。

ものづくりの背景からお客様に伝える姿勢を

実店舗でもオンラインストアでもわざわざが「使ってみてよかったもの」が商品として並べられます。代表平田はものづくりの現場の方とのコミュニケーションを非常に大切にしていて、実際に現場へ駆けつけ対話を重ねています。そこからわざわざで何が出来るのかを考え、生産や販売に向けスタッフにも伝えていくのです。それはコーポレートサイトにてミッションに揚げているように「我々は健康な心身を保つために必要な物・事を広げるために存在する」をまずは社内で実践するためです。

わざわざは健康な状態でいられるための環境を作るもの、健康を形作っていく食品、健康的な労働環境を作るトレーサビリティ等、健康に担保するために行われる全ての行動に対してアプローチしていきます。わざわざが提唱することが人々の健康の礎となり、人々をサポートできることが企業としての社会貢献を果たすための第一歩となるために。

(株式会社わざわざコーポレートサイト「わざわざの心」より)

自ずからスタッフもわざわざで取り扱っている商品に興味を持ち、自分の生活に取り入れるという方もいます。この日も問touのスタッフともんぺの話で盛り上がったのでした。

わざわざで働くということ

ここで、わざわざでの働きかたや、その空気感、わざわざの内側のことを少しご紹介できればと思います。これまで私が働いていた職場では、ほとんどが部署や担当ごとに受け持つ業務が細分化されていました。それはとても一般的なことでしょう。わざわざの組織は代表平田を中心に「しくみ部」から始まり、関連したさまざまな部署がつながっている状態で日々の業務に携わっています。

ーわざわざでは、部署はそれぞれの役割がありつつも、全てが連なっていると解釈しています。横や縦に縦横無尽に連携し、全ての部署が関わり合ってユーザーに物事を届けているという構造です。またトップダウン型の組織ではなく、会社というものは全ての部署を内包しており、円の形でできていることを理想としています。

(株式会社わざわざコーポレートサイト「わざわざのしくみ」より)

まるい組織だからこその働き方

部署ごとに縦で割らず、それぞれの部署が連なる「まるい組織」という組織構造を目指し、スタッフそれぞれが所属する部署にこだわらず、いつでもどこでも働くことだってできます。普段は実店舗でお客様にご案内しながら、社内で依頼があれば印刷物の制作を対応するスタッフもいれば、オンラインストアで進行係を務めながら、実店舗がイベント等で忙しくなれば応援に駆けつけるスタッフもいます。このように自分の任された業務や部署ごとではなく会社全体でお互いに協働して、働くことができるのです。部署に限定されずに、どこでも働くこともできるというのはなんだか自分にとっても心強い組織のかたちでもあります。

このような組織のかたちを成していますので、部署ごとで対立なんてこともなく、お互いに「どうしたらよりよくなるのか」相談しやすい風土になっています。そこにはわざわざの上下関係にも影響していて、30名ほどの方が働く会社ではありますが、20代から60代までと幅広い年齢層の方が一緒に働いています。礼儀やマナーを意識しながらも、年齢や勤務経歴の差からくる上下関係がほとんどなくお互いにフラットな立場で話し合いができる職場でもあります。

まるい組織であり続けるためにもスタッフの一人ひとりがコーポレートサイト「どんな人物像がわざわざに適しているか?」でご紹介するコーポレート・アイデンティティ(CI)にそった人物像であることをスタッフ一人ひとりに求められます。どれも特別に難しい内容ではないのですが、普段から意識しないとなかなか出来ないような内容です。スタッフ一人ひとりがCIの理解を深めることによって、一つの目的を果たすような会社になり、掲げたミッションに到着するのではないかとわざわざは信じます。

自分に正直でいられる会社、わざわざ

これまでいくつかの会社で勤めてきましたが、わざわざで働き始めてから自分に正直でいられる会社だなと感じるようになりました。それは代表平田が普段から正直な気持ちをもってお話されているからかもしれません。

そのせいか、自分の心を包み隠さずに、自分の意見や質問を出せる雰囲気がわざわざにはあります。例えば、自分に向いていないと思った業務を対応出来ないと理由を、本音を包み隠して説明する必要もありません。お互いに自分が得意とするところや苦手だと感じるところを明かして、協業して業務に取り組めています。ミーティングでもそれぞれの立場や形にはまった発言をする必要がなくて、それぞれが思うままに発言できます。

スタッフ同士でうまくいかないこともあります。その時はチームで集まって、問題だと思っている点について話し合います。チームで話し合うからこそ、変に人間関係がこじれることもありません。

基本的にルールのないわざわざですので、スタッフそれぞれがルールに従って物事を取り繕う必要もありません。そのため、正直に物事を伝えられる環境でもあります。

この環境に身をおいていると、いつしか自分に正直な気持ちで業務に取り組めている自分がいます。余計なストレスも溜まらず、心が健康になっていくような気さえします。誰もが自分にも他人にも正直でありたいという気持ちはあるでしょう。自分に正直でいられる会社、わざわざです。

よき生活者になる

わざわざと出会ってから、普段の生活でも少しずつ口に入れるものや身に付けるものに対する意識も変化してきました。それが果たして健康になるかというと誰にもわからないことなのですが、少なくとも以前よりは何を食べ、何を身に着けているかを理解していますので「心身にとってよい生活を選択できている」という心理的安全性が保たれています。自己の心身に耳を傾けながら日々の生活を精一杯過ごす「よき生活者になる」でありたいですし、その上で「全ては誰かの幸せのために」今日もわざわざで働き続けます。

自分・家族・同僚・お客様・地域・取引先、どれかを最優先にするのではなく、どれにとっても大体ちょうどいいを選択することが大切である。お客様の優先度が上がり、スタッフの健康が失われていったり、利益を追求するあまり取引先に苦労させることも良しとしない。双方にとって良いバランスを保ちながら企業として存続してくことが、社会貢献するために必要である。

(株式会社わざわざコーポレートサイト「わざわざたる行動」より)

毎日眺めたい景色が東御市にあった。

初めて訪れたオーストラリアで大自然を目の前にし感じたことは「こんな美しい景色を毎日眺める暮らしってどんな感じだろう」。いつかそう思える景色に出会えたら、そこで暮らせたらいいなという思いが自分の中で芽生えました。それから国内外を問わずあちこちの土地を訪れてみましたが、なかなかそう思える景色とは出会えませんでした。出張の機会を得て訪れた東御市でまさに「毎日眺めたい景色」と出会いました。どこから眺めても心奪われるほど、ここの山並みは本当に美しいのです。

それに加えて、自然豊かなところですので毎日のちょっとした散歩に、週末には温泉から登山までとおでかけが楽しみになりそうです。直売所に行けば旬の新鮮な野菜がたっぷり並んでいます。また、日々の暮らしの中で、歩きながら、食べながら、眺めながら、季節の移り変わりを楽しめそうです。そしてわざわざがあります。東御に移住してみよう、とふと感じた瞬間でした。

文責>ワタナベ 写真>若菜紘之